十時愛梨のゴキゲン☆ととキッチン♪ ≪7品目:先手中飛車対居合抜きレポート・2017年版≫
Merry Christmas ♪
今日は寒い国からやってきたサンタ愛梨が、
みんなにクリスマスプレゼントを用意しました☆
2017年の先手中飛車対居合抜きレポートですっ♪
これで居合抜き対策はきっとバッチリですよ♪
まず、今からちょうど8年間にある対局がありました。
そうなんですっ。
これが超速の第1号局なんですけど、それまで大流行していたゴキゲン中飛車が
大きく勝率を落とす原因となった対策ですね。
振り飛車党にとってはとんだクリスマスプレゼントですよね。
超速は猛威を振るい、たくさんの振り飛車党が居飛車へ鞍替えしたのは
まだ記憶に新しいですね。
長らく先手番専用の作戦だったので、先手中飛車へは魔の手は及びませんでしたけど、
居合抜き超速という作戦になって登場したのが戦いのはじまりでしたね。
最近はこんな情報もありましたよ~。
いつか出る本です!! pic.twitter.com/bxdCAmsdCr
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) 2017年12月21日
居飛車党が知識を得る前に先んじておきたいところですねっ♪
まず、居合抜き超速ってどういうものなのかさっそく見ていきましょう♪
初手からの指し手
☗5六歩 ☖8四歩 ☗7六歩 ☖6二銀 (基本図)
4手目の☖6二銀が、この戦法特有の構えですね。
これまでは☖3四歩や☖5四歩が主流でした。
☖6二銀は角道不突きのまま進めて角交換の捌きを封じようという狙いです。
2017年はたくさんの新手を生み出して菅井王位が誕生したのが印象的でしたが、
居合抜き対策でも2つのアイデアを出していますねっ♪
5手目は4つのバリエーションが揃いました。
それぞれの狙いはこんな感じですっ♪
(1)☗5五歩…5筋位取りが主張ですが、目標にされるのでいかに捌くかが課題です。
(2)☗6八銀…角交換向かい飛車と中飛車の含み
(3)☗7七角…角交換向かい飛車と中飛車の含み
(4)☗5八飛…5筋保留を活かした銀対抗や、三間飛車銀冠
これら対策が揃い始めた6月からの採用傾向をグラフにしたので見ていきましょうね♪
8月をピークに、新戦法の(2)☗6八銀と(3)☗7七角の採用が止まっていますね。
2017年の動向をそれぞれ簡単にまとめるとこんな事情です。
(1)☗5五歩…苦戦していましたが里見香奈先生の構想で奮闘、研究が進む可能性大。
(2)☗6八銀…8筋保留で☖7三銀型急戦にされるので手が遅れそう。
(3)☗7七角…8筋保留で☖6三銀型急戦にされるのが不満。
(4)☗5八飛…柔軟な構えで工夫の余地が多いので、最も研究が盛んです。
ここからは(1)~(3)の置かれている状況を振り返り、
(4)☗5八飛を中心に対策をまとめたいと思います♪
基本図からの指し手(1)
5手目☗5五歩
☖4二玉 ☗5八飛 ☖8五歩 ☗7七角
☖7四歩 ☗6八銀 ☖7三銀 ☗5七銀
☖6四銀 ☗6六銀 (第1図)
第1図からの指し手
☖5二金右 ☗4八玉 ☖3二銀 ☗3八玉
☖3一玉 ☗2八玉 ☖1四歩 ☗3八銀
☖3四歩 ☗5四歩 (第2図)
この分野は女流王座戦の進行が最新の攻防です♪
1筋の歩を受けないのが工夫で、壁角の形で戦いにしてしまおうということですねっ♪
ちょうど2~4筋の歩を突きたいタイミングで、横歩取りも見せています。
第2図からの指し手
☖5四同歩 ☗同 飛 ☖4四歩 ☗5九飛
☖4三金 ☗5四歩 (第3図)
第3図の☗5四歩で攻め切れるかがポイントですね。
女流王座戦第3局では壁角を解消する☖3三角が指されましたが、
☗7五歩が機敏な仕掛けで作戦勝ちでした♪
女流王座戦第5局では最強の反発☖5二飛で咎めに行きましたが、
難しい勝負だったものの壁角が捌けず振り飛車が押し切っています。
居飛車としては、壁角では☖1四歩が無意味ですので、
☖3四歩や☖4四歩と工夫する感じでしょうか。
5手目☗5五歩はこれからも指されていきそうな雰囲気がしますねっ♪
基本図からの指し手(2)
5手目☗6八銀
☖3四歩 ☗7七角 ☖4二玉 ☗5五歩(第4図)
次は菅井流5手目☗6八銀ですが、今日は居飛車が中飛車を許す変化を見ていきます。
角交換向かい飛車の将棋は過去の記事を参考にしてくださいっ♪
5筋位取りで中飛車の準備ができましたが、居飛車が咎めに動いてきます。
第4図からの指し手
☖7四歩 ☗5八飛 ☖7三銀(途中図)☗4八玉
☖6四銀 ☗3八玉 ☖5二飛(第5図)
8筋保留で超速にするのが秀逸な構想で困ります~。
途中図から銀対抗にすると違いがわかります。
しかし、プリンセス(玉)を囲う展開も☖5二飛(第5図)で困りました~。
☗6六歩、☗5七銀、☗5四歩の全てを封じられては打開に苦労しそうです。
9月末の対局を最後にしばらく姿を消していましたが、
最近になって実戦に登場しているので、まだ完全に消えたわけではありません。
とはいえ、採用数が伸びる可能性は低いと思います~。
基本図からの指し手(3)
5手目☗7七角
☖3四歩 ☗5五歩 ☖4二玉 ☗5八飛
☖3二玉 ☗4八玉 ☖4二銀 ☗6八銀
☖6四歩 ☗3八玉 ☖6三銀 ☗2八玉
☖1四歩 ☗1六歩 ☖5二金右 ☗3八銀
☖7四銀 (第6図)
もうひとつの菅井流☗7七角も見ていきましょう♪
こちらも、角交換向かい飛車の将棋は過去の記事を参考にしてくださいっ♪
こちらは8/16の対局を最後に姿を消しています。
それが第6図の進行なんですが、☖6三銀型急戦ですね。
8筋保留なのに☗7七角を目標に仕掛けられちゃっていますね。
☖6三銀型急戦にはいろいろな受け方があるんですけど、
☗8八角型のまま進めるのが☖7四銀の目標にならない指し方で有力とされています。
その例がD図とE図で、後者も菅井流なんですよ♪
菅井流ではじまった将棋が菅井流を封じられるのは皮肉ですね。
菅井流5手目☗7七角は☖6三銀型急戦にされたときに、
形を制限されるのが不満と見られているようです。
このまま姿を消す可能性まであると思います~。
基本図からの指し手(4)
5手目☗5八飛
☖8五歩 ☗7七角 ☖4二玉 ☗4八玉
☖1四歩 ☗1六歩 ☖5二金右 ☗3八玉
☖7四歩 (第7図)
本命の5手目☗5八飛を見ていきましょう♪
この作戦の狙いは5筋保留によって、銀対抗で☗5五銀とぶつける手や
三間飛車に振り直すような柔軟性があるのは以前に紹介しましたねっ!
この記事を書いた時からたくさんの実戦が重ねられて、
いろいろな工夫が加えられました。
端歩を受けずに穴熊や美濃囲いにするような構想もあるんですけど、
今回はオーソドックスな端歩を受けて美濃囲いにする進行で
居飛車の狙いを見ていきますっ♪
第7図からの指し手(1)
☗6八銀 ☖3二銀 ☗2八玉 ☖3一玉
☗3八銀 ☖6四歩 ☗5七銀 ☖7三桂(第8図)
☖7四歩をみて☗6八銀はセットで、
(1)☖7三銀☗5七銀☖6四銀☗6六銀の5筋保留銀対抗
(2)☖7三銀☗6六歩☖6四銀☗6七銀の歩越し銀には歩で対抗
を用意しています。
☖6四歩が今期後半に出てきた新しい構えです。
つまり、今は☖6三銀型持久戦と☖7三銀型急戦の
両面作戦に進化しているんです。
☗5七銀に☖7三桂(第8図)で両取りを見せられて、
☗5五歩~☗5六銀と構える余裕がありませんね。
銀の処遇を決める必要を迫られました。
居飛車の狙い筋
第8図からの指し手
☗4六銀 ☖1三角 (第9図)
☗6六銀だと歩越し銀には歩で対抗の形で、いつでも☖6五歩がありますね。
なので☗4六銀ですが、☖1三角(第9図)が居飛車の狙いです。
第9図からの指し手
☗5五歩 ☖6三銀 ☗4五銀 ☖6五桂
☗6八角 ☖同角成 ☗同 金 ☖8六歩(第10図)
☗5五歩に☖4四歩は☗4五銀の進出や☗5四歩に☖4三金で
得しようという狙いですが、これは欲張りすぎですっ!
咎める一手があるので、リンク先の次の一手を考えてみてくださいね♪
☖6三銀と受けられると、仕掛けるには☗4五銀しかありませんね。
しかし、角のラインが通るこの瞬間が危険で、☖6五桂で痺れてしまいます。
居飛車の狙いを理解したところで、次は対策を考えていきましょう♪
十時の考察
ここまでの流れを整理しましょう♪
(1)早めに☗6八銀と上がって☖7三銀型急戦に備える。
(2)☖6三銀型にスイッチして、☖7三桂☗4六銀☖1三角の攻撃陣を作る。
☗6八銀に替わる手があればまた違う世界が見えてきそうな気がしませんか?
第7図に戻って別の手を考えてみましょう♪
十時流☗7八銀(テーマ図)
☗7八銀が今回の工夫で☖1三角をけん制しています。
と言ってもピンとこないですよね。
テーマ図からの指し手(1)
☖1三角
☗1五歩 ☖2四角 ☗1四歩 (第11図)
☗1五歩に対して、今度は角を切る対象が早逃げしているので
☖1五同歩と取り返せませんっ♪
これはどのタイミングでも言えることなので、☖1三角を封じている構想なんです
テーマ図からの指し手(2)
☖7三銀
☗6六歩 ☖6四銀
(1)☗6七銀(第12図)
(2)☗6五歩(第13図)
☖7三銀型急戦には☗6六歩と突いて、歩越し銀には歩で対抗で対応します♪
穏やかに進めるなら☗6七銀(第12図)で、☖7三桂から持久戦になりますね。
お手本はこちらの棋譜が良いと思います♪
激しい変化では☗6五歩(第13図)もありますねっ♪
☖同 銀☗6七銀☖5四銀☗5五歩
☖4五銀☗4六歩☖同 銀☗6八角
☖1三角☗4八金☖3五銀(G図)と進んだのが以下の将棋です。
実戦は☗1五歩でしたが、☗5四歩も有力ですよっ♪
いずれかの作戦を用意しておけば☖7三銀型急戦はバッチリですっ♪
テーマ図からの指し手(3)
☖6四歩
☗5五歩 ☖6三銀 ☗6六歩 ☖3二銀
☗6七銀 ☖3一玉 ☗2八玉 ☖3四歩
☗3八銀 ☖3三角 ☗5六銀 ☖4四歩
☗4六歩 ☖4三金 ☗6八飛 (第14図)
☖6四歩は☖6三銀型を作って捌きを抑え、左美濃に組む狙いですねっ。
☖1三角には常に☗1五歩があるので囲い合いになります。
第14図まで進むと実戦例に合流します♪
久保王将が銀河戦で優勝を飾った将棋と言えばピンとくる人もいるかもしれませんね♪
☖2四角に☗4七銀と上がるしかないと思われていたところに、
☗6五歩と突いたのには驚きました~。
☖4六角に実戦は
(1)☗6七飛☖6五歩☗同 銀☖8六歩
☗同 歩☖6六歩☗4七飛☖7三桂
☗4六飛☖6五桂☗6六飛☖7七桂不成
☗同 桂(H図)で難解な勝負ですね。
実戦の☖5二銀以外にも、☖6四歩や☖6四銀打が考えられます。
(2)☗6四歩☖6八角成☗同金☖6四銀(I図)という進行もありそうですっ♪
☗6三角や☗4五歩で攻めが繋がるかどうかの勝負ですね♪
変化が複雑なので、自信がなければ☗4七銀で収めるのが無難ですけど、
腕に自信があれば飛び込んでみるのも面白そうですっ♪
テーマ図からの指し手(4)
☖3二玉
☗5五歩 ☖4四歩 ☗6六歩 ☖3四歩
☗6七銀 ☖4三金 ☗2八玉 ☖3三角
☗5六銀 ☖6四歩 ☗3八銀 ☖6三銀
☗4六歩 ☖2二玉 ☗6八飛 (第15図)
端歩を突き合っているのであまり得策ではないと思うんですけど、
先に☖4四歩は☗5四歩の捌きを警戒した駒組みです。
☗5六銀が☗6五銀を見せた動きなので、☖6四歩は仕方がないところですが、
第15図まで進めると、☖2四角は離れ駒ができているので条件は悪くなっています。
かと言って、穴熊まで組む余裕を得るには☖7三桂しかないですね。
☗9五角☖8三飛☗7八飛の要領で石田流を目指せば作戦勝ち望めそうですっ♪
愛梨のプレゼントはいかがでしたか?
この戦型はいたちごっこが続いている状況なので、
十時流もすぐに廃れるかもしれないんですけど、
中飛車党のみんなに少しでも白星を届けられたらうれしいなっ♪